不要農地を国が引き取り、事例が増加

このコラムは2026年2月9日に作成および更新したものです。

行き場のない農地と、新たな選択肢

2023年に始まった「相続土地国庫帰属制度」の利用が、徐々に増えているようだ。

その中でも、耕作していない農地に関する相談が多く、これまで実質的には預貯金も含めた「相続放棄」しか選択肢がなかったケースに対する、新たな出口戦略として注目が高まっている。
管理できない農地については、これまでも各市町村の農業委員会が相談窓口となり、耕作の担い手(借り手・買い手)を探してもらうルートがあった。
条件の良い土地であれば、農地バンクによる借り上げも期待できるが、実際には多くのケースで担い手は現れず、過度な期待ができないという現実がある。
自治体への寄付についても状況は同様だ。

審査・負担金という現実的なハードル

もっとも、本制度の利用にあたっては審査があり、一筆あたり1万4千円の手数料が必要となる。

審査に要する期間は8か月程度が目安とされている。さらに、国庫帰属が認められた場合には、10年分の管理費に相当する負担金として、少なくとも20万円を30日以内に納める必要がある。

この負担金は土地の広さや条件に応じて高額となり、10アール(1,000㎡)を超えると100万円以上になるケースもある。
タダで譲ることができる制度ではない点には注意が必要だ。
固定資産税が安価な中山間地域などでは、このコストに見合わないとして、相談段階で利用を断念するケースもあるという。

制度の定着に向けた課題と今後

なお、ことし元日の中国新聞によれば、中国5県で制度開始以降に利用申請があった土地のうち、農地は197件、実際に国が引き取ったのは75件(約3万5千㎡)にとどまっており、申請に対する承認率は半数にも達していない。
長年放置され、竹や木が繁茂した土地や、境界が不明確な土地、崩落の恐れがある石積みを有する土地などは、引き取ってもらえない。
耕作放棄地の抑止や、災害復興時の土地の整流化という目的を達成するためには、なお多くの課題が残されている。
国が引き取った土地の活用方法も含め、今後もこの制度の行方に注目していきたい。
(2026年2月9日)