孤立死調査に見る高齢男性の生きづらさ

このコラムは2025年12月20日に作成および更新したものです。

孤立死の実態と“男性”の偏在

今年4月、政府(内閣府)が初めて孤立死に関する全国推計を発表した。ここでいう孤立死とは、単に一人で亡くなることではなく、死後8日以上経過して発見され、生前から社会的つながりを欠いていた実態を示すものである。
2024年の孤立死は年間約2万1千人と推計され、特に70〜74歳男性で多く、15歳未満を除くほとんどの年齢層で男性の割合が高いことが分かった(グラフは2025年4月12日付け中国新聞より引用)。
これは高齢期における男性の生きづらさを象徴している。

男性の方が社会的つながりを失いやすいのか

浮かび上がるのは、多くの男性にとって生活の中心が仕事に偏っており、定年退職後に職場とのつながりを失うと社会との接点も急激に減少しやすい実情である。女性の社会参加の広がりによって将来は変わる可能性もあるが、団塊ジュニア世代や就職氷河期世代が高齢期に入る今後数十年は、男性の孤立傾向が加速すると考えられる。
内閣府『高齢社会白書』2022年によれば、65歳以上で週1回以上友人と会話する割合は男性35.3%、女性50.8%であり、厚生労働省『国民生活基礎調査』2022年では、地域活動参加は男性14.5%、女性28.6%で、社会的つながりの希薄さが浮かび上がるのである。

「助けて」と言えない日本人の心理

このような孤立には、日本人の心理的傾向も影響していると考えられる。名古屋大学の石井敬子教授(社会・文化心理学)は、日本文化における「他人に迷惑をかけたくない」という感覚が、かえって助けを求める困難さにつながると指摘している。男性に限らないが、とくに仕事上のプライドや価値観が定年後もリセットされず、周囲に助けを求めにくい状況が生まれる。
現役時代のストレスやプレッシャーが積み重なり、燃え尽き状態で人付き合いを避けるケースもある。
社会的つながりを維持し、コミュニティに参加することが孤立防止の第一歩である。
(2025年12月20日)